音の寄り道仮称
ISSUE 001 2026.09.12 / 更新 2026.09.27

音楽家の隣にいる人へ——MODEのレーザーVJから、MUTEKの映像表現をたどる

音楽を探しているとき、出演者の隣にある「Laser VJ」という表記から読み始めてみる。音を鳴らす人だけでなく、光や映像を担う人、その組み合わせを選ぶ企画者へと関心を広げられるからだ。初回は東京のMODEを入口に、MESの美術活動、Crack Magazineが紹介するモントリオールの共同公演、そして秋のMUTEK.JPを併せて読む。

MODEの出演者欄から、MESへ

MODE公式プログラムには、2026年9月6日、東京のWALL&WALLでの公演としてLord Spikeheartと∈Y∋、Laser VJとしてMESが記載されている。今回はこの告知の組み合わせを取り上げる。日付は調査対象の7日間に含まれるが、公演が実施されたか、中止や変更があったかは未確認だ。告知の発信日も不明のため、初稿の調査期間内の新規発表としては扱わない。MODEの公式プログラムを読む

ここで立ち止まりたいのは、MESの新井健と谷川果菜絵が、光を音楽の添え物として扱っていないことだ。中島晴矢が聞き手を務めたインタビュー(CINRA、2025年1月)で、新井は蝋をレーザーで溶かす彫刻の研究からクラブのVJへ進んだ経緯を話している。谷川も、クラブで試みるうちに音楽やファッションの人たちとの接点が広がったと振り返る。美術と音楽が似ているという比喩ではなく、同じ人が場所と素材を変えてきたつながりだ。

もう一つ、展示会場CON_が公開する、Eisaku Sakaiによる対話では、制作途中に生じる予期しない変化を、パーティーでのハプニングに通じるものとして新井が語る。こちらは会場側のインタビューだ。二つを読むと、完成した図像だけでなく、その場で形や空間が変わる過程にMESが関心を持っていることが見えてくる。MODEの出演者欄に戻ると、「Laser VJ」という役割にも、この制作の続きがあると考えられる。

Crack Staffが公演前後に取り上げた協働

海外の紹介元からは、Crack Magazineの署名「Crack Staff」による9月10日の写真記事を選んだ。記事はMUTEK Montréal 2026を振り返り、PurelinkとMika Okiの協働をハイライトの一つに挙げている。初稿の調査期間内に出たのはこの記事で、8月25日のガイドが案内したフェスティバルの開催期間は8月25〜30日だ。写真と筆者の選択は、掲載元で確かめてほしい。9月10日の写真記事へ

背景として読むと面白いのが、同じCrack Staffによる8月25日のガイドだ。こちらはPurelinkとMika Okiによる8月30日の公演を、新しいライブAV協働の北米初演として案内している。また、Playの8月29日のプログラムを、映像操作やアナログ投影、フィードバック、レーザーなどを通じて音・像・知覚の関係を探る枠として紹介する。8月25日のガイドを読む

二つの記事を続けて読むと、同じ署名が8月30日の公演前に案内した協働を、公演後にも取り上げていることがわかる。ここでは、その選択の続き方に関心を持った。写真記事を演奏の細部まで論じた音楽評に置き換えることはできないが、どの組み合わせを追っている紹介元なのかを知る手がかりになる。今後もこの媒体を読むかどうか、原文の写真や文章から判断してみてほしい。

音の粒と映像が、景色に変わる

別の目線を加えてくれるのが、noteでアルバムの感想と公演レポートを書くうまの2026年9月4日の参加記。同じMUTEK Montréalで見た、電子音楽家Fenneszと映像作家Lillevanの公演について、音には細かな粒を聴き分ける面白さを、映像には季節や土地の移り変わりを感じたと記す。Fenneszの公式公演記録にも、この二人による8月29日の公演が載っている。

『Endless Summer』を聴く / Fennesz公式Bandcamp — 公演の題材になった2001年のアルバム。リンク先は再発盤で、当日のライブ音源ではない。

MESの語る「制作中に起きる変化」と、うまが記す「音の粒と映像から広がる景色」。同じ表現とまとめるより、作り手と観客がそれぞれ何に注意を向けるかを読むと、音と映像の組み合わせを具体的に考えられる。この参加記はPurelinkとMika Okiの公演評ではないので、Crackの評価への賛同としては数えない。

うまの発信を続けて読むなら、Short Spanを扱った8月の記事へ。家で聴く音楽とフロアで踊る音楽の間を、複数の作品から考えている。筆者の記事一覧から、音楽の聴かれ方や場所への関心を追える。

次に確かめたい、東京の11月

今後を追う入口として、MUTEK.JP 2026の告知も置いておく。公式チケットページでは11月20〜23日、MoN Takanawaでの開催を案内し、Passport Phase 1の開始日を9月9日としている。こちらは開催そのものが秋の予定であり、初稿の調査期間に重なるのは販売期の開始日だ。MUTEK.JPの公式案内を読む

MODE、モントリオールでの協働、MUTEK.JPを並べたのは、音楽と視覚表現の組み合わせを追うための編集上の選択だ。MODEとMUTEKの共同企画や、紹介した出演者の東京公演を示すものではない。次に公式プログラムを読むときは、音楽家の名前に加えて、映像や光を担う人、企画の説明にも目を向けたい。一つの公演をきっかけに、次に追う作家や紹介者が見つかるかもしれない。


初稿:2026年9月12日。追記確認:2026年9月27日。今号は公開Web資料をもとにAIが収集・編集した試作です。現地取材・試聴は行っていません。初稿の対象期間内の情報と、過去の背景資料を区別して記載しています。改稿:MESの本人発言と観客の公演レポートを追加。